音声合成ソフト(読み上げソフト)で文章のミスを減らそう
音声合成ソフト(読み上げソフト)で文章をチェック
文章を校正する際、みなさんはどのような手法を使っていますか。ディスプレイに表示させて確認するだけでしょうか。印刷物の方が読みやすいということで、紙にプリントして確かめることもあるでしょう。
僕は、文章校正の手順に、音声合成ソフト(読み上げソフト)でテキストを読ませて耳で確認する、というプロセスを取り入れています。なかなか役に立ちますよ。
目視だけだと「目が滑る」ことがあるのに対し、目視と読み上げを同時に行うと目が滑るのを耳からの情報で防ぎやすく、つい見逃しがちな誤記やスムーズさに欠ける流れを見つけやすくなりました。もちろん、聴くだけだと「耳が滑る」こともあるし、後述する同音異義語の問題もあるため、目視も併用します。
読み上げソフトを使うと、校正の精度だけでなく、速度もコンスタントに上がるようです。ざっと測ったところ、700文字前後の日本語を1分程度で読み上げる速度でチェックしているので、少なくとも「目視チェックだけ」より遅いことはないんじゃないかな。
ニュース系翻訳/執筆が多い僕には、原稿の確認回数を減らせたことも大きい。例えば、僕の標準的な確認手順は、これまで(1)自分で読む、(2)自作校正ツールを通す、(3)市販校正ツールその1を通す、(4)市販校正ツールその2を通す、(5)提出直前にもう一度読む、という5段階の処理でした。これが、読み上げソフトを導入したら、(1)と(5)をまとめて処理しても校正精度を高められたのです。1つの原稿につきチェック回数を1回減らせわけで、1日の作業に換算すると時間面と負荷面で大きなメリットが生まれます。しかも、ミスも減らせると。
ニュース系の仕事だと、指示を受けてから成果物納品まで1時間しかかけられない、なんて超短納期の作業がよくあります。あまりチェックに割ける時間は確保できません。そんな僕にとって、PCによるテキスト読み上げは欠かせない校正手段です。
現在とりあえず使用中の読み上げソフト
校正に読み上げソフトを活用する手法は試験的な運用であったため、当初はフリーのソフトを使っていました。ただし、このソフトには、テキストを読み飛ばすという致命的な問題があります。
しばらくは我慢していたものの、試験運用の結果この手法の有効性を確認できたので読み飛ばし問題を解決しようと、「Voice Editing Ver.1.0 Mobile Edition」(6,090円)に乗り換えました。決して流暢ではありませんが、読みの精度はそれまで使っていたソフトよりも高いし、なによりも読み飛ばし問題を解決できたのがありがたい。
ただし、テキストを読み上げる以外の機能はほぼゼロでの手抜きソフトで、発音の登録などは行えません。また、ユーザ・インタフェースがWindowsの標準的なルールから外れているところがあり、細かい不満はたくさん。でも、今のところほかのソフトを導入せず、使い続けています。
読み上げ速度とチェックの効率
読み上げソフトが文章を読み上げる速度は、初期設定だとかなり遅いものが多いようです。遅い方が確実に耳で聞くことができるでしょうから、その初期設定を選んだ気持ちは理解できます。でも、作業時間に余裕のないニュース系の仕事では、少しでも作業時間を短縮したいものです。そこで、半分冗談で読み上げ速度を1.3倍速ほどに上げて試してみました。
速度を上げてみるまで、ゆっくり確認した方がよいと思っていました。ところが、実際にやってみたら、高速チェックの方が短時間で済むうえ、集中力が途切れない。一石二鳥です。
目で追うのが辛くて見落としが生じるかな、と心配していたけど、逆に集中力が高まって確認精度が向上するみたい。読みが速いからかえって真剣に文章と照らし合わせるようになり、それまでよりもきちんと校正できました。その後、速度を2倍強くらいまで上げて使っています。
この速度で長い文章を扱うのは体力的にきついけど、僕が普段書く程度の記事(和文でせいぜい2000文字くらい)には適しているようです。
読み上げソフトでチェックする際の注意点
和訳チェックに読み上げソフトを使う際に注意すべき点は、目視を併用しないと危険ということでしょう。日本語には同音異義語が多いから、耳だけでは「基盤」「基板」や「出展」「出典」の違いなど区別できません。
また、同じ文字にも様々な読み方があるので、耳から聞くだけではとんでもない間違いを見逃す恐れがあります。以前「Microsoft社」を「まいくろそふとやしろ」と読まれたときには、自分が何の仕事をしているのか一瞬忘れてしまいました:-)
読み上げソフトで同音異義語を聞き分けるアイデア
まだアイデアの段階に過ぎない方法ですが、うまく行きそうに思えるので書いておきましょう。「読み上げソフトの単語登録機能を使い、わざと間違った読み方をさせて同音異義語を区別する」というものです。例えば、以下のように登録すれば、耳で聞いても異なる単語だとはっきり分かります。
私立→わたくしりつ
市立→いちりつ基盤→きばん
基板→きいた出展→しゅってん
出典→しゅっのり
このアイデアを思いつく前は、単語登録機能など固有名詞や明らかな読み間違えを修正する程度にしか使わないから、必要ないと考えていました。だから、単語登録のできないVoice Editingで満足していたわけです。同音異義語を区別できる可能性に気づいた途端、俄然別のソフトに対する興味が湧いてきました。
ところが、単語登録できる読み上げソフトって意外と少ない。日本語の文章は単語の切れ目がないから、単語登録をしようとしても、発音を作る前段階の文章解析の部分が難しいのかもしれません。日本語だと分かち書がされていないから、単に発音を登録するだけじゃ済まないのかもしれない。分かち書き処理用の情報も同時にいじる必要があって、その辺りがややこしいのかな、という気がします。英語のような分かち書きだと、プログラム的には処理が楽なのでしょう。
そんなことを翻訳系オンライン・コミュニティでやり取りしていたら、ある方からユーザ辞書登録が可能な「ドキュメントトーカ」という製品の存在を教えてもらいました。Windows用だけでなくMacintosh用もあるそうです。そのうちに調べてみます。
関連リンク
ここで言及した読み上げソフトや、関連記事に対するリンクをまとめておきます。特に翻訳フォーラムとTsaucer情報技術翻訳メーリングリスト、tratool-jpメーリングリストでのやり取りに参加された方からは、有益な情報をいただきました。ありがとうございます。
Voice Editing
http://panasonic.jp/support/software/voice_editing/
ドキュメントトーカ
http://www.createsystem.co.jp/
翻訳フォーラム
「テキスト読み上げソフト」
http://www.maruo.co.jp/honyaku/7/x00455_sxetj.html
翻訳フォーラム
「IBMのTTSのデモ」
http://www.maruo.co.jp/honyaku/7/x00498_tf8vz.html
Tsaucer情報技術翻訳メーリングリスト
「翻訳後のチェック」
http://groups.yahoo.co.jp/group/Tsaucer/message/3100
tratool-jpメーリングリスト
「音声合成ソフトの不具合」
http://groups.yahoo.co.jp/group/tratool-jp/message/2941
ギターのある生活
ミスを減らすためのツール:音声合成
http://life-with-guitar.cocolog-nifty.com/nobusato/2005/06/post_b071.html
ギターのある生活
ミスを減らすためのツール:音声合成その2
http://life-with-guitar.cocolog-nifty.com/nobusato/2005/06/2_07a4.html
IT翻訳者向けピックアップ・ニュース
MicrosoftのオンラインPC管理サービスの正式提供開始は6月(#26、2月8日)
http://blog.mag2.com/m/log/0000179856/106937217.html
IT翻訳者向けピックアップ・ニュース
半導体市場を引っ張るデジタル家電、NANDフラッシュメモリを引っ張るiPod(#33、2月17日)
http://blog.mag2.com/m/log/0000179856/106969136.html
IT翻訳者向けピックアップ・ニュース
MicrosoftのスパムWebページ識別技術に期待(#117、7月14日)
http://blog.mag2.com/m/log/0000179856/107484511.html
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